興味がありつつ、ごくたまに葛根湯と養命酒にお世話になる程度で、あまり生活に浸透してない漢方。
タイトルと私好みの表紙に惹かれて購入。
心身ともに不調に苦しむみのりさん。
いくつもの病院で「特に異常なし」とつき離された末に辿り着いた漢方診療所。
半信半疑で処方された漢方薬を服用し、陰陽五行説に基づく中医学の知識を深めていくうちに、当初の「病気を治したい」という気持ちが、「変化を恐れない自分になりたい」と変わっていきます。
最初に病名を知りたがるみのりさんに先生は
「(病名は)ない。 いらない」と。
西洋医学では、「この病気にはこの薬」ですが、東洋医学は「病気になったあなたはこういう人だからこの薬」という治療。 そして、この「こういう」が証。
自然治癒力に頼る古代の医学が基礎なので、個人レベルで根本から治していく事に重点がおかれています。
物語のラストでみのりさんが薬用植物園を訪れてます。
柴胡、怵(じゅつ)、オタネニンジン、地黄、黄ごん、山茱萸、肉桂、甘草、、、生命力溢れる生薬を見て、自分は薬を飲んでいたのではなく、「気」という物質をもらっていたのだと感じます。
これから先のみのりさんも不調に見舞われる事があるでしょうが、漢方が命綱になって、今までより柔軟に対処出来るでしょう。
30代前半のみのりさんが漢方との関わりながら新しい自分を見出していく姿は、60代前半の私の心にも効能があったような気がします。
全然知らなかった漢方ワールド、なかなか興味深いです。